WASEWの「B.D ONE OXFORD SHIRT」は、古くからウールの産地として有名な尾州(愛知県一宮市)の旧式織機、通称 ションヘル機で織られたWASEWオリジナルのオックスフォード生地を使用しています。
古いものでは100年近く前に製造されたションヘル機ですが、製造メーカーが廃業した今では、稼働台数は減るのみです。また、後継者不足もあり、あと何年この生地を織れるか分かりません。
そんな貴重な生地で仕立てた「B.D ONE OXFORD SHIRT」のウラ側をご紹介します。
生きる歴史、ションヘル織機
愛知県一宮市に残る、ドイツのションヘル社の織機をもとに昭和初期ごろから日本で製造された織機をションヘルと呼びます。当時の製造メーカーはすでに廃業しており、故障の際は中古パーツを再利用しながら今も稼働しています。歴史資料としても貴重な織機です。
1日に15メーターしか織れない生地
ションヘル織機は現代の高速織機の10分の1以下の回転数のため、生産効率が非常に悪く、1日に15メーターほどしか織れません。また、3000本〜8000本の縦糸をセットする仕込み作業は、熟練の職人でも3、4日かかります。
非効率だからできる風合い
一般的な薄手のシャツ生地にはない、ヴィンテージ特有の "ふんわり" とした風合いを求めました。しかし、現在の高速織機では実現できません。縦糸のテンションを緩く張ることができ、糸を傷つけずリラックスした状態でゆっくり織れる、低速回転の旧式織機で織ることが重要でした。
尾州にションヘルがあるという奇跡
ウールの産地、尾州では糸に糊付けをせずに生地を織ります。この特徴を綿の糸に応用し、低速回転のションヘル機で織ることで、かたさのない "ふんわり" とした生地を実現することができるのです。仮にションヘル機が糸に糊付けをする他の地域にあったとしても、この生地を織ることはできませんでした。
縫製にも日本の技術あり
WASEWのシャツはすべて、国内のシャツ専用工場で縫製されています。その理由は、細番手の糸を使い、21運針数という通常の生産品よりも、細かな運針数で縫製するためです。一般的に運針数が多い方が高級品といわれており、シャツに上品さが出ます。また、襟に立体感を出す仕立てのよい仕上げのためにも専用工場の技術が必要でした。
たしかなモノには物語がある
「B.D ONE OXFORD SHIRT」は、あと何年生産できるかわからない貴重な生地を使い、国内のシャツ専用工場で丁寧に縫製されています。ただのモノとしてのシャツだけではなく、その背景にあるストーリーも一緒に箱に入れてお届けしたいという想いです。